追善供養・納骨

・位牌、過去帳の準備
位牌とは、故人の戒名や死亡年月日を記して仏壇などにお祀りし、故人の霊魂が仮に宿る場所となるもので、四十九日法要までに用意をしておくものです。

作製には2週間ほどかかるものなので、早めに仏具店や菩提寺、葬儀会社に相談をしておきましょう。

完成した位牌に、『魂入れ(たましいいれ)』という儀式を行うことで、故人様の依り代となります。

過去帳とは、家々の俗名、戒名(法名)、没年月日、死亡年齢などを記した、各家庭に伝わる系譜です。

浄土真宗の教えでは、魂は極楽浄土にあるものとされているので、位牌は作らず、過去帳を仏壇に供えます。

・お仏壇の準備
忌明け(49日)まで使用していた後飾り祭壇(中陰祭壇)は、49日を過ぎると撤去しなければなりませんので、故人様をお祀りする、具体的に言うと、魂入れした位牌をお供えするお仏壇が必要になります。

一般的には忌明けまでに用意をしておくものですが、葬儀後の各手続きで余裕がない場合は一周忌を目処に考えてもよいかもしれません。

お仏壇もご本尊に『魂入れ』をすることで手を合わせて礼拝をする対象になります。

・お墓、納骨の準備
これから初めてお墓を建てる、となった場合、完成までには2~3か月かかるそうです。

完成したお墓にも『魂入れ』をします。

納骨をする際にも『魂入れ』をします。

納骨はいつまでにしなければならないという決まりはありません。

ですが、ご寺院様や親戚が集まる時に合わせて行うことで、遺族にも参列者にも負担を減らせられるので、四十九日や一周忌など法要の日に合わせて行われることが多いです。

『魂入れ』について
先ほどから再三登場している『魂入れ』という儀式ですが、『お性根入れ(おしょうねいれ)』、『開眼供養(かいげんくよう)』という言い方もします。

僧侶のお勤めにより魂を吹き込む儀式です。

性根とは、根本の性質のこと、その人の本質のことで、故人様の心を入れる、という意味です。

開眼とは、達磨の目入れのように、仏像などは最後に目を入れることで魂が吹き込まれ霊験が得られるようになります。

魂入れをすることで、木の板が位牌に、木の箱が仏壇に、石の塊が墓石になります。

仏教では追善供養(ついぜんくよう)という考えがあります。

追善とは、故人の為に善い行いをすること、供養とは、故人様の冥福を祈ることです。

位牌や仏壇を拝むことやお墓参りをすることです。

毎日ご先祖様に手を合わせることもそうですし、初七日法要から始まる中陰法要、百箇日、一周忌や三回忌などの年忌法要も追善供養です。

仏壇には毎朝、新しい水とご飯を供えて線香を立てます。こうした日々の給仕も追善供養のひとつです。

そうして、追善供養をすることで、積んだ【徳】を故人に与え、故人が浄土へ行けるようにすると同時に、追善供養を行った人にも浄土への道を開くという教えが仏教にはあります。

故人が亡くなってから一年目の命日が一周忌ですが、以後、二年目の命日を三回忌、六年目の命日を七回忌、十三回忌、十七回忌、、、と続きます。

三年目=三回忌ではないことに注意が必要です。

宗旨によりますが、三十三回忌をもって弔い上げ、ようやく極楽浄土へたどり着かれたとされ、年忌法要を終了し、お位牌などを片付けます。

宗旨によっては、二十三回忌と二十七回忌を行わず間の二十五回忌を行う場合や三十三回忌以降も年忌法要を行う場合もあります。

その後、特に高い徳を積まれた方、仏教諸宗の宗祖や中興の祖などは、五十年忌、百年忌と50年毎に遠忌(おんき)法要が行われます。

最近では、2021年に、622年に亡くなった聖徳太子の1400回忌法要が行われました。

忌中と喪中
近親者が亡くなると、「喪に服する」というように、一般に身を慎む期間に入ります。この期間を『忌中』、『喪中』と言います。

じつはこの期間や範囲は正確に決まっているわけではありません。

一般的には四十九日までを『忌中』、一周忌までを『喪中』とし、その範囲は二親等以内と考えられています。

但し、上記も下記もとても曖昧なものなので、参考程度にお考えください。

喪中・忌中に慎むべきこと・お祝い事(結婚式、お正月の行事など)
・外部との接触(酒席や旅行など)
・贅沢や楽しむこと(クリスマスパーティーなど)
・日にちが微妙に近いもので、仏式を信仰している方でもご逝去から50日間は神様との接触を控える、という考えがあり、初詣など神社への参拝や七五三、家の新築による地鎮祭などは慎む方が良いです。逆に、喪中であっても50日を過ぎていれば初詣に行っても良いとされています。

ここまでずっと仏式の話をしてきましたが、同じ仏式でも浄土真宗には追善供養という考えはありません。

浄土真宗では、阿弥陀仏がすぐに極楽浄土へ連れて行ってくださる、という教えなので、中陰法要も年忌法要も、阿弥陀仏への信心を示すために行います。

追善供養は仏教の考えなので、意味合いは異なりますが、神道やキリスト教など仏教以外の宗旨でも、追悼儀礼を行います。

神道では、五十日祭というのが仏教の四十九日に当たり、忌明けになります。

その後は百日祭を経て式年祭を行います。

式年祭は、仏式と違いそのまま数え、一年目の一年祭、三年目の三年祭、五年祭、十年祭と続き、以後、10年毎に行います。
五十年祭をもって弔い上げになります。

また、仏式の位牌に相当するものとして霊璽(れいじ)、仏壇に相当するものとして祖霊舎(それいしゃ)があります。

キリスト教では、カトリックでは追悼ミサ、プロテスタントでは記念式という呼び名の追悼儀礼が行われますが、特に何年置きにするというような決まりはありません。

納骨

※『墓地、埋葬等に関する法律』によると、納骨は都道府県知事の認可を得た墓地や納骨堂に、納骨の許可証を持参することという決まりがあります。

自宅の庭などに勝手にお墓を立てたり埋めると違法になってしまいます。

納骨をしなければ、ご自宅にずっと安置し続けても構わないですし、ペンダントにするなど、身につけても構わないとされています。

また、現状、散骨に関する決まりはないので、地面に撒くなどは法律のグレーゾーンなのだそうです(自治体により、一切禁止されている地域もあります)。

散骨するためには、大切な方の御遺骨を乳棒などで刷り潰してパウダー状にしなければなりません。

現在では、お墓や納骨堂の他に様々な納骨の種類があります。
・樹木葬
専用の霊園や区画に桜の木などの樹木を墓標として納骨するもの。

故・市原悦子さんの御遺骨は生前契約していた真光寺の樹木葬墓苑に納められています。

・散骨
遺骨をパウダー状にして野山や海に撒くもの。

どこでも良いわけではなくマナーを守って行わなければならないので、専門の業者に依頼して行います。

2022年4月17日に故・石原慎太郎元都知事の海洋散骨式が行われました。

・宇宙葬
人工衛星に乗せて宇宙へ打ち上げるもの。
スタートレックの生みの親である故・ジーンロッデンベリーさんが1997年に世界で初めて宇宙葬を行いました。