ご逝去後の手続き

お葬式を終え、中陰法要と並行して行う事務的な手続きについて説明します。

各種手続きには期限が定められているものが多く、期限を過ぎると受け取れる補助金が貰えなかったり、過料が科される場合もあるので、注意が必要です。

人により必要な手続きは様々ですし、全て上げると多岐に渡りすぎてよくわからなくなりそうなので、ここでは特に重要な戸籍・保険・年金に絞って説明したいと思います。

また相続に関しては、お近くの行政書士あるいは司法書士などに頼るのをおすすめします。

死亡届の提出・火葬許可申請

・提出期限
死亡日から7日以内

・提出先
死亡者の本籍地、死亡地、届け出人の所在地のいずれかに該当する市区町村役場の戸籍・住民登録窓口(24時間受付可能)

・必要なもの
死亡届・死亡診断書・届出人の印鑑

死亡届とは、本人の死亡を証明する公的な証明書で、この届出が受理されて初めて住民票に死亡が記載されます。

死亡届は医師から受け取る死亡診断書(死体検案書)と共に届け出ます(A3用紙の右半分が死亡診断書、左半分が死亡届になっていることが多い)。

※死亡診断書は、今後の手続きで何枚も必要になります。提出すると返ってきませんので、提出の前に必ずコピーを数枚取っておきます。

また、以下に記す死亡診断書は全てコピーで問題ありません。

死亡届を提出することで、火葬許可申請が行われ、火葬許可証を受け取ることが出来ます。
【火葬許可証が無いと火葬が出来ませんので、死亡届の提出は、お葬式の前に行わなければなりません】

葬儀会社が代理で行うのが一般的です。

住民票の抹消届け・世帯主の変更届

・提出期限
死亡日から14日以内

・提出先
届け出人の市区町村役場の戸籍・住民登録窓口

・必要なもの
届け出人の本人確認書類(免許証など)・印鑑

とされていますが、死亡届の提出と同時に住民票の抹消も行われるので、特別な手続きは不要です。

世帯主の変更届は、故人が世帯主で、且つ、同一世帯に世帯主になれる方が2人以上いる場合に限り、必要な手続きです。

例えば夫婦二人の世帯で、夫である世帯主が亡くなった場合、自動的に妻が世帯主になるので不要。

また、15才未満の子どもは世帯主になれないので、夫婦に15才未満の子どもが1人の三人世帯の場合も不要。

配偶者や15才以上の子どもが合わせて二人以上いる場合、手続きが必要になります。

健康保険の資格喪失
・提出期限
死亡日から14日以内

・提出先
故人の市区町村役場の国民健康保険窓口

・必要なもの
健康保険証・死亡診断書

世帯主が亡くなった場合、世帯全員分の保険証を返却し、新たな世帯主のもと、改めて健康保険への加入手続きが必要です。

【故人が会社員や公務員で、協会けんぽなどの健康保険(いわゆる社会保険のこと)に加入していた場合、資格喪失の手続きは勤務先が行いますので、勤務先に保険証を返却するだけでよいです。】

【後期高齢者医療制度に加入されていた方(75歳以上または65歳以上で一定の障害がある方)は、死亡届の提出とともに資格喪失手続きが行われますが、自治体によっては手続きが必要な場合があります。】

また、国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入の場合には『葬祭費』が、社会保険に加入の場合には『埋葬料』または『埋葬費』が支給されます。

埋葬料とは、故人によって生計を維持されていたご家族が申請できるもの。

埋葬費とは、埋葬料の支給対象がいない時に、埋葬を行なった人が代わりに受け取ることができる制度です。

葬祭費は自治体によって1万円~7万円、埋葬費・埋葬料は5万円が上限です。

申請には、死亡診断書の他に、葬儀の領収書、葬儀を執り行った方(葬儀代金を支払った方)の金融機関の口座番号が必要です。

葬祭費はお葬式の翌日から2年以内、埋葬費は亡くなった翌日から2年以内、埋葬料は納骨を行った翌日から2年以内、と期限が微妙に異なるので注意が必要です。

年金の資格喪失

・提出期限
厚生年金…死亡日から10日以内国民年金…死亡日から14日以内
・提出先
年金事務所、年金相談センター

・必要なもの
年金証書・死亡診断書

日本年金機構にマイナンバーを紐付けしている方は手続き不要。

年金は、後払い(今月分の年金は翌月或いは翌々月に支払われる)という支払われ方の仕組み上、未支給年金が必ず発生します。

必ず発生する未支給年金ですが、請求をしないと受け取ることができません。

3親等以内の親族は、5年以内に未支給年金の請求を行えます。

請求には、年金証書と死亡診断書の他に、故人との続柄が確認できる書類(戸籍謄本など)、生計を同じくしていたことが確認できる書類(世帯全員の住民票)、受け取りを希望する金融機関の通帳など、が必要です。

また、亡くなった方に一定の条件が当てはまる遺族が居る場合、遺族年金等を受け取ることが出来ます。

①遺族基礎年金
国民年金の加入者か受給者が亡くなられ、その方によって生計を維持されていた、18歳以下(障害のある方は20歳以下)のお子様がいる世帯の配偶者または「子」が受け取れる年金です。

18歳以下のお子様が18歳(障害のある方は20歳)の誕生日を迎えてから最初の3月31日までの期間、受け取ることができます。

②遺族厚生年金
厚生年金の加入者か受給者が亡くなられ、その方によって生計を維持されていた遺族が受け取れる年金です。

遺族の範囲や優先順位は、
配偶者→子→父母→孫→祖父母
で、配偶者でも夫の場合と父母、祖父母は55歳以上、子と孫は18歳以下と定められています。

③寡婦年金
第1号被保険者(主に自営業の方)として納付、或いは免除期間が10年以上ある夫が、年金を受け取ることなく亡くなられた時に、その夫と10年以上婚姻関係にあり、生計を維持されていた妻が60歳~65歳までの間受け取れる年金です。

他に死亡一時金というものもあるのですが、遺族基礎年金を受けられる方がいると支給されず、寡婦年金も受けられる場合はどちらかを選択しなければなりません。

遺族基礎年金、遺族厚生年金は納付或いは免除期間が25年以上ないと受給されず、受給期間や金額など、計算式も複雑です。

上記の文章も非常にわかりにくいのではないかと思います。

受給資格や期間、金額など、年金事務所や年金相談センターに直接伺うのが良いように思います。