お葬式の流れもまた、宗教や宗派、地域、時代により様々です。
一般には、大きく二つの側面があると言われています。
【宗教儀礼】故人様を迷いなく《あの世(宗教により呼び名は様々)》へと送る(葬儀)。
【社会儀礼】遺された者達が、故人様と最後のお別れをする(告別式)。
【宗教儀礼】は、例えば一部を除く仏式葬儀の場合、僧侶が《引導(いんどう)》という作法を行います。
《引導》とは故人様から現世への思いを断ち切らせ、仏の道を開き極楽浄土へと導くことです。
このことから、仏教ではお葬式を執り行う僧侶のことを《導師(どうし)》と呼びます。
《引導》はお葬式の半ばで行われ、引導後に、弔辞や弔電、その後お勤めが再開され、参列者の焼香へと続きます。
つまり、引導後からが【社会儀礼】です。
お焼香をし、合掌・礼拝をするのは、故人様との対話、お別れの言葉を掛ける意味合いがあります。
以下は一般的なお葬式の流れです。
10:00 遺族集合 式場担当者との打ち合わせ ・弔電の確認 ・火葬場へ行く人数、車の台数確認 ・式の流れの打ち合わせ 親族集合
10:30 宗教者到着 ・喪主ご挨拶
受付開始 ・一般参列者集合
10:45 遺族、親族着席 一般参列者着席
10:57 宗教者入場
11:00 開式 ・弔辞 ・弔電 ・お焼香
11:40 宗教者退場 喪主挨拶
11:45 閉式 お別れ・お花入れ
12:00 出棺
開式の時間は火葬場の予約時間により、午前から午後まで様々です。
開式から出棺までは1時間で組まれるのが一般的です。
ほとんどの宗教者はそのことを理解されているので、40分ほどでお勤めを終了されます。
中には50分や1時間お勤めをされる宗教者もおられるので、その場合は、前もって式の時間を長く取るか、開式時間を早めるなどして、お別れの時間を長く取れるよう対策します。
但し、一般の参列者が多く集まるお式の場合など、開式時間を動かさない方が良いです。
お通夜と同様に、喪主やご遺族は開式の1時間前にはお集まりいただき、式場担当者と打ち合わせをします。
基本的な流れはお通夜とそれほど変わりませんが、閉式後は出棺の準備に入ります。
式場スタッフにより、祭壇におられる故人様を式場の中央に移し、棺の蓋を開け、祭壇の生花を切り分けます。
参列者は一旦式場後方や控え室にて待機します。
準備が整えば、お別れ、お花入れです。
喪主、ご遺族、ご親族、一般参列者の順にお棺へお花をお手向けします。
納棺時に入れられなかった副葬品もこの時にお手向けします。
〖式場でのこの場が、故人様とご対面できる最後の機会です。
お声掛けやお触れしていただけるのはこの場限りですので、心置き無くお別れをしましょう。〗
頃合いを見て式場担当者よりお蓋が閉じられ、霊柩車へとご乗棺。
その後、火葬場へと向かわれる参列者はハイヤー、バス、自家用車などに乗り、霊柩車、宗教者に続いて火葬場へと出棺します。
上記は一例であり、冒頭でお伝えしたように、宗教や宗派、地域により多種多様です。
『お葬式』という呼び方にしても、正確には葬儀・告別式。
宗教儀礼が葬儀、社会儀礼が告別式なので、引導までが葬儀、引導後からが告別式なのですが、この呼び方を嫌う宗派があったり、お葬式の最後のお花入れを告別式と呼ぶ地域があったりします。
弔電を宗教者の退場後に読む地域もあります。
また、近年、初七日法要はお葬式の中で執り行われることが一般的になりつつあります(式中初七日)。
とはいえ、本来は命日から数えて7日目に行われる法要が初七日法要です(これも地域差あり)。
しかし、親類筋もそんなにすぐに集まれないよ、ということから、お骨上げ後、火葬場から再び式場に戻り、お葬式と同じ日に初七日法要を執り行うことが一般化しています(繰り上げ初七日法要)。
法要を執り行う僧侶によっては、繰り上げ初七日までは許容できても、式中初七日なんてけしからん!という考えを持つ方もいます(仏教上は完全に正しい)。
ですので、今回のお葬式の流れには入れませんでした。
どうか悪しからず。