死ぬと警察のお世話になる

日本では約80%の方が病院で亡くなるそうです。

病院や施設で亡くなった場合、主治医による死亡診断が行われ、死亡診断書が発行されます。

高齢や持病を持って自宅療養を選択している場合は、「かかりつけ医」がいるはずなので、速やかに病院へ連絡します。

その後は病院で亡くなった場合と同様、医師による死亡診断を待ち、死亡診断書が発行されます。

自宅などの病院や施設以外の場所で、持病や老衰以外で亡くなった場合、異状死として警察に届け出なければならない、という規定があります。

自宅を訪れたら家族が倒れていた。

お風呂から上がってこない家族がお風呂場で倒れていた。

など状況は様々ですが、明らかに死亡していると判断できない場合には救急車を呼び、病院へ搬送されるかその場で死亡が確認されます。

警察への届け出は死亡が確認されてからになります。

亡くなった家族と別居しており、すでに腐敗が進んでいて死亡してから何日経過していたのかわからないような状態であればすぐに警察を呼びます。

警察へ届け出た場合、死亡診断は死体検案とその名を変えます。 

警察の到着後、ご遺族には、事件性の有無を調べるため事情聴取が行われます。

遺産や相続人、家族関係や仲の良さなど、あらゆることを聞かれるそうです。

家族が亡くなったばかりで気が動転しているなかでの事情聴取は、ストレスを感じるものではありますが、故人のためにも遺体発見時の状況や既往歴などできるだけ正確に警察へ伝えましょう。

また、あわせて現場検証も行われます。

その頃、ご遺体は死亡された住所地の管轄の警察署へ運ばれ、検視が行われます。

警察によりご遺体の身元確認や事件性の嫌疑があるか否かが調べられ、監察医や法医学者により亡くなったときの状況や既往歴などから死因と死亡推定時刻が医学的に判断されます。

それでも死因が特定できない場合は、解剖が行われます。

解剖には行政解剖と司法解剖があり、行政解剖は検視によって事件性・犯罪性は低いと判断されながらも死因が特定できない場合に、司法解剖は事件性があると考えられる場合に行われます。

検視や解剖は、短ければ半日から数日で終わることもありますが、長ければ1ヶ月以上かかる場合もあります。

検視や解剖が終わり、葬儀会社が迎えに来るまでの間、ご遺体は納体袋(のうたいぶくろ)という黒か灰色の塩化ビニール製の袋に裸で入れられ、警察署の敷地の片隅、事故車両などが並んだ駐車場の奥にある検視室の中の、霊安室というご遺体を複数体安置できる大きな冷蔵庫のような部屋の中に、折り重なるようにして入れられます。

葬儀会社が迎えに来ると、霊安室から出されたご遺体は、納体袋のままステンレス製の台の上に置かれます。

(警察署により設備に違いがあります)

納体袋が開けられ、葬儀会社の手によりご遺体用のオムツが履かされ、浴衣が着せ付けられるまで、人間的な扱いは許されません。

この時、ご遺体は体液や糞尿にまみれていることがしばしばあります。

死後変化により、耳、鼻、口や肛門などあらゆる穴から体液が漏れ出すためです。

故人様には出来ればご遺族とご対面していただきたいので、葬儀会社としては清拭や特殊メイクやエンバーミングなどで状態の復元が可能かを見定めるために、状態の悪いご遺体でも納体袋を開けてお顔やお体を確認します。

火事や事件、事故に巻き込まれたご遺体でも、生前に近い状態に戻すことができます。

しかし、本当に悲しいことなのですが、腐敗や損傷があまりにも激しく、復元が困難なご遺体もあります。

その場合は、納体袋を開けないまま、予め用意していた棺にお入りいただくことになります。

このように、死後、警察のお世話になると、ご遺族にもご遺体にも辛い思いを強いられることになります。

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