『ありがとうございます』にはどうもおめでたい雰囲気、ありがたいことのような雰囲気があるようで気にされる方がおられます。
実際にお葬式の場で『ありがとう』は普通に使います。
受付にて、参列者に「お越しいただきありがとうございます」
喪主挨拶にて「本日は誠にありがとうございました」
全く問題ないので気にせず使いましょう。
但し、香典を受け取ったとき、返礼品を受け取ったときの『ありがとうございます』は不謹慎だと言われています。
金品を受け取ったことへの直接的な感謝の表現が相応しくないのは、何となくわかりますね。
香典を受け取ったときには、「お預かりします」とのみ伝え、返礼品を受け取ったときには、「恐れ入ります」と伝えると良いです。
特に『恐れ入ります』は、我々葬儀屋のスタッフにはとてもありがたい言葉です。
通常の接客業だと、利用していただいたお礼として、『ありがとうございます』は日常的に使う言葉だと思いますが、葬儀屋を利用していただいて『ありがとうございます』は使うことができません。
そこで、『恐れ入ります』と伝えます。
葬儀屋の『恐れ入ります』は『ありがとうございます』と同義になります。
さて、忌み言葉というものがあります。
一般的に特定のシーンにおいて不幸や不吉なことを連想させる言葉、使ってはいけないとされている言葉のことです。
お葬式での忌み言葉はたくさんあります。
『ますます』『わざわざ』『くれぐれも』『重ね重ね』『いろいろ』『たびたび』などの重ね言葉は不幸が繰り返すと言われており忌み言葉になっています。
他にも
『死』『苦』転じて『4(し)』『9(く)』、『続く』『追う』『焦る』『枯れる』『忙しい』『冷める』『相次ぐ』『終わる』『痛い』『繰り返す』『また』『再び』『崩れる』などなど、要するにネガティブなワード、不幸を連想させる言葉で、もっとたくさんあります。
これでは突然の訃報で、喪主や参列者になったときに初めて意識してみても遅いですね。
普段から使わないよう訓練をしておかないと難しいと思います。
ですがご安心ください。
人よりも多く葬儀の現場に携わっていての実感ですが、多くの参列者は忌み言葉など全く何も気にしていません。
「くれぐれもお体にお気をつけ下さい」と言われて、(むむっ、くれぐれも!)などと思うでしょうか。
親戚や参列者にマナーの講師を勤めているような方がいらっしゃればその方にだけは注意が必要かもしれませんが。
故人様を直接的に侮辱するような言葉は絶対に良くないですが、普段の言葉遣いで参列していただければよいように思います。